ミケ猫の小部屋

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ベクトルから見るフーリエ級数

フーリエ級数は周期関数を周期の異なる三角関数に分解する」と学部の一年から教え込まれたが、その公式がなかなか覚えられないダメ人間です(笑)。たぶん私と同感してる人はかなり多いと思います。この記事は公式を頭の中に焼き付けるためでも、一時の発想を記録するためでも存在する。

フーリエ級数の復習

随時参照できるように、まずは公式をここに乗せる。周期が Tの関数 f(x)があるとする。 f(x) = \sum_{k=-K}^{K} c_k e^{ i\frac{2k\pi}{T} x } のように展開できる。そこで、 c_k = \frac{ \int f(x)e^{ -i\frac{2k\pi}{T} x }dx }{T} と置く。ブログの表示問題で、ここは実際0からTまでの定積分となる。

なんだその謎の c_k?

その謎を解ける前に、まず線形代数を復習しましょう!平面上に二つのベクトル \vec{a} \vec{b}があるとすると、下の図はその状態を示した。

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ベクトルの内積

まずは \vec{a} \vec{b}を同一の始点に揃えて、 \vec{a}の終点から \vec{b}に垂線を引く。上の図の点線はその垂線を表す。そして、その垂線の切片を \vec{a} \vec{b}にの投影という。投影の長さと \vec{b}の長さの積はまさに \vec{a} \vec{b}内積だ。公式で表すと \vec{a} \cdot \vec{b} = \cos \theta |\vec{a}| |\vec{b}| になる。その公式見て、 \vec{b}の長さを1に置く時に何が起こる?内積 \vec{a}の投影の長さになった!

普段ベクトルを言えば、常に多くの数が縦に並べるイメージですが、それらの数は実このベクトルと各軸の正の方向に向いてる単位ベクトルの内積だ。下の図のようにベクトルは二方向のベクトルに分解された。x個の (1 , 0)とy個の (0, 1)の和に分解した。

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ベクトルを分解する
 (1,0) (0,1)のような長さが1かつお互い直交するベクトルの組は分解することにぴったりだ。なぜなら、直交することはお互いが表現する部分に重なりがないことを意味する。x軸の単位ベクトルが表現することはy軸の単位ベクトルで表現できない。そしてある次元の成分を弄っても、他の次元に影響がない。そのような分解は人間にとっても理解しやすい。

フーリエ級数の話に戻ります。周期がKの関数 f(x) g(x)内積 \int f(x)\bar{g(x)}と定義される。ここでは表示問題のため、実際は0からKまでの定積分になる。その知識があれば、 c_kは実際元関数と \frac{e^{i\frac{2k\pi}{T} x}}{T}内積を表してる。そして、 l \neq rの場合に< e^{i2l\pi x},e^{i2r\pi x}>=0がある。 e^{i2k\pi x}は周波数の異なる振動を表すため、それは異なる周波数の振動がお互い直交してることを意味する。つまり、下の図のように、その関数を座標軸に見なすことはできる。

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三倍振動までフーリエ展開する

この図の場合、元関数を何らかのベクトルとして扱う。積分により、各軸での投影が求まって、それらの振動の線形コンビネーションとして表すことこそフーリエ級数の正体だ。さらに、公式の分母にいる Tはベクトル e^{ i\frac{2k\pi}{T} x } の長さを1に抑えるための定数となっている。

難しそうなこと言って何が嬉しい

もし突然公式を思い出せなくなる場合、ベクトル空間を想像してください。それは { \frac{e^{i\frac{2k\pi}{T} x}}{T} }を基底にする空間で、元関数をを各基底に投影し、基底の線形コンビネーションとして表す。そうしたら、ちょっと覚えやすくなるでしょう。少なくとも私はそう思ってる。

雑談:なんだが最小二乗法と似てない?

フーリエ級数は最初二乗誤差を最小化する発想から導かれた級数なので、そのことを思いついた。級数なので、無限に足し続けると誤差はゼロにちかづいていく。最小二乗法の場合は次元数が限られるため、どうしても誤差は生じる。そして、 Ax=bの解を A^{T}Ax=A^{T}bの解で近似することは実際bをまず Aの基底が張る超平面にまず投影して解くことと解釈される。そのような色んな「証拠」からすると、私はフーリエ級数が最小二乗法と似てると思う。