【世にも奇妙な関数】行列の指数関数とは?
実数の指数関数は
と書けるように、行列の指数関数は
に書ける。時々思うけど級数って連続な関数を離散の和形式に変換して扱いやすいだろう。
この指数関数はなにかおかしい!
この関数はを満たしていない。まずはを展開してみよう。
何の変哲もない級数ですね。それからとを展開してみよう。
簡単な例を考えましょう。上の二式を掛けたら三次の項は、やなどの三次以下の項から由来する。特にとからそれぞれ一項取り出して次数の和が3になる取り方全部漏れなく一回やる。これにより、
が分かる。勘が鋭い人は気づいたかもしれないけど、この式を整理して
の形になる。内のシグマに「二項定理使ってになるじゃん」と言いたい人もいるだろうけど、二項定理は行列に対して必ずしも成立しない。を考えましょう。式を展開したらになる。行列の掛け算は交換不可なのでとをまとめることができない。なので一般的にがある。
が成立する場合
容易に想像するけど、の時に限って が成立する。だががある。この極限を使って量子回路合成する手法も存在する。
おまけ:正規行列の関数
正規行列はのようにスペクトル分解できる。結論を先に言うと関数を正規行列に対して適用したらが得られる。
正規行列のべき乗は固有値だけ変える
を自乗して
に違う固有ベクトル乗算したら相殺する。同じ固有ベクトルは乗算した後1になるので影響はない。それにより をk乗して
になることが分かる。
冪級数で関数を定義する
ここでは関数を冪級数に展開したものは
と定める。行列をそのまま代入すると
がある。シグマの位置を変えて射影行列を括りだす。